どうも、クマのみん(@Dorasike)です。
海水水槽の場合「ライブロック」を水槽内にいれることにより、ライブロックが生物濾過を行ってくれ水質が安定します(ライブロックとプロテインスキマーにより淡水より楽まであるとか・・・)。
アクアリウム愛好家の中には通常のろ過材を入れず、ライブロックの生物濾過とプロテインスキマーの物理濾過のみに頼った浄化システムを採用している方もいます(ミドリイシなどの硝酸塩に特にシビアな環境用)。
・ 価格 :2000円/kg~5000円/kg
・ 目安 :水量の1/10
・ 選び方:色はなんでもよい。腐敗臭の強い物はダメ
・ 注意 :底砂に直接置かずに通水性を保つ

ライブロックは見た目もよく生物濾過も行ってくれるため、海水魚飼育には必須だよ!
そもそもライブロックって何?
「ライブロック」とはベースであるミドリイシなどのハードコーラルの死骸にバクテリア・海藻・微生物などが付着した生きている岩「Live Rock」のことです。
ライブロックには海から採取した”天然ライブロック”とリーフセメントなどを固めたものを海に沈め生物を付着させた”人工ライブロック”の2つがあります。
ライブロックの機能とは?
水質浄化作用がある
ライブロックはリングろ材などと同じ多孔質(多くの穴が開いている)の形となっており、水質浄化の役割のあるバクテリアが付着しやすい形となっています。

ライブロック表面では、好気性バクテリア(ニトロソモナスなど)が付着し、アンモニア(KH3)→亜硝酸塩(NO2)→硝酸塩(NO3)の硝化を行い、毒性の高いアンモニアを無毒化します。
ライブロックの深部(1mm程度)では、嫌気性バクテリア(ニトロスピラなど)が付着し、硝酸塩(NO3)→窒素(N2)+亜硝酸(NO2)の脱窒を行い、水槽外に窒素を排出し無毒化します。
好気性バクテリア、嫌気性バクテリア以外にも、浄化能力の高いアーキア菌やアナモックス菌なども水槽内に取り入れることが可能です。
アーキア菌(古細菌)/アナモックス菌:脱窒能力の高い細菌であるが水槽内での勢力は弱くやがて死滅する。ライブロックを外部フィルターなどのメインろ材として使用している場合、定期的(1.5年程度)新しいライブロックに交換しアーキア菌を補充することが有効。尚、培養が難しいことから市販のバクテリア材にはアーキア菌とアナモックス菌は一切含まれていません。
※理化学研究所にてアーキア菌、日立製作所にてアナモックス菌の培養に成功したそうなので、そのうち市販されるかも・・・
ちなみに水槽立ち上げ時は、水の中にバクテリアがいないため水を浄化することができません(空気中にもバクテリアはいるが定着にすごく時間がかかる)。そのため、立ち上げにライブロックを使用しバクテリアを水槽内にいれることが必要となります。
魚の隠れ家になる
ライブロックは穴が開いていたりくぼみがあったり・・・と多種多様な複雑形状をしているため、魚の寝床(特にハゼ系などの臆病な魚)や隠れ家となります。また、照明をさえぎる役割もあるため、光のあまり必要のないサンゴをライブロック下にレイアウトしサンゴに合わせた照明に調整することもできます。
サンゴやイソギンチャクの土台になる
サンゴの中には強い光が必要なサンゴ、弱い光でもよいサンゴがあります。強い光が必要なサンゴは水面近くに配置しますが、水面近くにサンゴを配置するためには当然サンゴが活着する場所が必要となり、そのためにライブロックを使用します。
ライブロックを組み合わせ水槽内に高低差を作りサンゴの好みとする照明が当たるような配置をします。
ライブロックの選び方はどうすれば?
バクテリアが付着し水質浄化の役割もあるライブロックですが、販売しているお店の管理状態が悪いと有益なバクテリアが付着しておらず、かえって水質悪化の危険性があります。
☑ 色が白すぎないこと(真っ白の物はただの岩!)
☑ 大きさのわりに軽い物
悪臭がせず磯の香りがすること(最重要)

イメージ的に臭いライブロックには多くのバクテリアが付着してそうだけど・・・

新鮮で質の良いライブロックはほんのり磯の香りがするよ。バクテリア!というとなんだか臭そうなイメージがあるけど別に臭くないよ。臭い匂いの素は採取場所からの輸送や雑な管理によりダメージを受けた微生物や不要な生体の死骸だよ。
ライブロックはほんのり磯(海)の香りがするものをオススメします。
お店に入荷直後のライブロックは採取場所からの輸送によりダメージを受け、微生物や不要な生体の死骸が付着しており悪臭・腐敗臭がします。また、お店の管理方法が良くないと腐敗が進み質の良くないライブロックとなります。
このようなライブロックは水槽内によくない菌を持ちこむだけなのでお勧めできません。できればお店で「キュアリング済み」のライブロックを購入することをお勧めします。
色が白すぎないこと

ライブロックは白い物と紫色のものがあるけど、なんとなく綺麗そうなので白いライブロックで選べばよいのかな?

ライブロックの紫色は「石灰藻」の色だよ。
石灰藻は水質がよくないとつかないため「石灰藻が多い=紫色が多い=水質が良い環境で採取されたライブロック」だよ。
新鮮で状態の良いライブロックは表面に「石灰藻」という藻がついており紫色をしています。
とはいえ、全部分が紫である必要はなくある程度色づいていれば問題ありません。
尚、真っ白のライブロックは「デスロック」と呼ばれ肝心のバクテリアが全く付着していないため、水質浄化の期待はできません。その分安価なため、レイアウト用と割り切り使用してください。
大きさのわりに軽い物

ライブロックにバクテリアが付着するのならとにかく大きく重い物を選べばよいのかな?

ライブロックの表面にバクテリアが付着するため、大きさよりも重量が大事だよ。大きさのわりに軽いライブロックは表面に多くの穴が開いており(多孔質)表面積が大きくバクテリアが多く付着し水質浄化能力が高いよ。
良いライブロックは大きさの割に軽く、濾過の力だけでみれば枝状のライブロックをオススメします。
尚、全て枝状のライブロックや軽いライブロックのみでくみ上げた場合安定性に欠けるため、ライブロックを組むときは下側(底砂に近い側)に重たいライブロックを置き、上に行くほど軽くなるように組み上げると安定します(トップヘビーは不安定)。
デザインライブロックと言われる上に広がるダイナミックなライブロックのレイアウトは、単純にライブロックを積み上げているだけではなく結束バンドやリーフセメントで固定し崩れないようにしています。
ライブロックの必要量はどれくらい?

ライブロックの機能と選び方はわかったけど・・・水質浄化のためにとにかくたくさん入れればいいのかな?

ライブロックを多く入れることにより付着するバクテリアが増え浄化能力は高まりますが、水量が減るため水質が安定し難く水も汚れやすくなるよ。
また、ライブロック多く入れることにより水流を妨げてしまうため、水槽内に止水域ができるよ。
ライブロックは多ければ多いほど良いと一概にいえず、水量の1割程度を目安にしてください(水量50リットルなら5キロ)。
キュアリングってなに?

ライブロックの選び方がわかったので早速買ってきた!
ということで・・・いきなり水槽にドボンしよ。

ちょっと待った!
お店の管理方法が悪い場合、水槽に良くない生物(腐敗した微生物、シャコ、カニ)や汚れがついてる場合があるよ!
水槽にいきなりドボンするのではなくキュアリングしてからいれてね。
キュアリングの方法
STEP1:大きめのバケツに比重を合わせた海水をいれる
※ライブロックに付着した海藻やコケが気になる場合、オキシドールをいれる(海水1リットルあたり50ccを目安)。
STEP2:海水入りのバケツの中にライブロックをいれる
STEP:3:エアーレーション(ぶくぶく)をする
STEP4:ウェーブポンプで水流を作り汚れを掻き出す
STEP5:そのまま3日ほど放置(途中で汚れた海水は取り替える)
完了:汚れが出なくなり悪臭もしなくなったらキュアリング完了です。
水槽に入れる前にキュアリングをしライブロックの状態を万全にしてから水槽に入れてください。
シャコは取り除く
キュアリングしている途中(照明のついていない夜間)「パチパチッ」と弾く音がする場合はラップ現象ライブロックにシャコが住み着いています。シャコは飼育している生体を襲う場合があるためキュアリングの段階でシャコは取り除きましょう(水槽に入れてからだととても!とても!!とても!!!大変です。)
カニも取り除く
ライブロックには多くの確率でカニが住み着いています。
生体の中には「エメラルドグリーンクラブ」や「サンゴガニ」などの有益なカニもいますが、ライブロックに潜んでいる多くのカニは飼育生体に悪さをします。
シャコと同様キュアリングの段階でカニも取り除きましょう(何度も言いますが水槽に入れてからだと、とても!とても!!とても!!!とても!!!!大変です。)
ライブロックの置き方はどうするの?
ライブロックのレイアウトは人それぞれセンスに頼る部分が大きいため解説はしませんが、最低限抑えておくべきポイントを解説します。
☑ 底砂に直接置かないこと
☑ 水の流れを意識すること
水槽壁面に密着しないこと
ライブロックを水槽壁面に密着し置いてしまうと、壁面とライブロックの間の通水性が悪くなり汚れの温床になります。また、水槽壁面の掃除道具もいれることができず、水槽壁面が汚れたままとなります。
そのため、ライブロックは水槽壁面から少し離して設置し水槽全体の通水性を意識しましょう。
底砂に直接置かないこと
ライブロックを底砂に直接置いてしまうと底砂とライブロックの間が止水域となり生体にとって猛毒である硫化水素が発生しやすくなるため、ライブロックは底砂から浮かして配置しましょう。
(目安はライブロックの設置面の半分は浮かす)
ライブロックを浮かすにはライブロックスタンドを使います。ライブロックスタンドはアクリル棒を接着すればDIYで簡単に作ることもできますが、めんどくさいかたは市販品を購入してください。
水の流れを意識すること
ライブロックは水槽壁面と底砂から離し通水性を確保するのが望ましいです。つまるところ・・・水の流れを意識し水が淀む箇所をつくらないことがポイントです。「通水性が悪い=水が淀む=死水となる」の認識を持ってください。
ライブロックを高く積む場合は土台となる部分の通水性が悪くならないよう、枝状ライブロックなどの隙間の多くあいたライブロックを使用してください。
↓ライブロック配置例
☑ 底砂と接触する面はライブロックスタンドや素焼きの壺を使い浮かしている
☑ 通水性の悪くなりがちな下側に人工ライブロック(大きな丸穴が開いている)を配置し通水性をよくしている
☑ 直接見えないところは枝状ライブロックを配置し高さと通水性を両立している
まとめ
淡水と違い海水魚の飼育ではライブロックが必要不可欠です。
水質向上、見た目、魚の住処などなど多くの役割をもっています。
少し価格は高いのですが、必要十分な量を水槽内にいれるようにしましょう。
少しでも参考になれば幸いです。
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